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第3回 思いが伝わるポスターを作る デザイン部【後編】
2021年2月9日(火)~14日(日)に開催される2020年度東北芸術工科大学映像学科 卒業/修了研究・制作展「24bit+」を創り上げる学生たちのリアルな言葉をお届けするため、広報部にて各部へのインタビューを企画しました。開催まで全5回にわたり毎週掲載していきます。
第3回では映像学科卒展ポスターのデザインを担当しているデザイン部の佐藤夏季さん、小野七菜華さん、村上千紘さん、樋口ゆり子さんの4名にお話を伺いました。
後編となる今回は、第2案から最終案までの流れに焦点を当てていきます。
最終案を決めるにあたって各々が担当した箇所と、それぞれの工夫点を教えてください。
佐藤 私は素材の切り抜きを担当しました。普段から動画編集で切り抜きなどを行っているため、静止した素材の切り抜きも昔より上達したのではないかと思っています。
小野 案出しです。ちょうどこのポスター制作が一番大変な時期に諸事情で離れていたため、他の3人のメンバーにとにかく頼りっぱなしでした。その分客観的にポスターを見てアイデアなどをメンバーに伝えていました。3人がそれぞれ得意分野を生かして素敵なポスターを作ってくれたので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
村上 主にデザイン案出しと、撮影・加工してくれた写真素材を実際にポスターとして構成したり、色味の調整など仕上げ作業を担当しました。色味や雰囲気が定まるまでは、本当に様々なデザイン案を作ってきました。フィードバックをいただきながら改善を重ねて、最終案に辿り着くまでがやはり1番難しかったですが、やりがいや学びを感じました。
樋口 私はビジュアル素材の撮影準備と文字組みを担当しました。文字組みは読みやすい構成を意識しました。撮影自体はカメラが得意な人(制作部:佐々木春杜さん)にお願いしました。他にも小道具や撮影環境を決めたり準備したりしています。ちなみに撮影で使用したキューブは、立方体の木材に白いビニールテープを貼りつけたもので、しぶきは白い絵の具を溶かした水を使っています。しぶきはジャガイモを落下させて撮影しています。
第2案から第3案(下図参照)へ本格的に1つに絞る上で、何を大切にしましたか?
佐藤 最低限必要な要素を考えることを大切にしました。要素を詰め込みすぎては一番伝えたいことが埋もれてしまうため、展示タイトルとコンセプトをシンプルに伝えられるデザインを目指していきました。
小野 誰のための何のポスターかなのかを大切にしました。それらを考えることで、たくさんの案の中から絞ることができたと思います。
小野 誰のための何のポスターかなのかを大切にしました。それらを考えることで、たくさんの案の中から絞ることができたと思います。
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はっきりとキューブが見えるレイアウトに変更された理由はなんですか?
佐藤 水を利用して飛び出す表現をするということになり、何が飛び出しているのかを分かりやすくする必要がありました。キューブが飛び出る姿が見える方が躍動感もありますし。ピクセルというテーマを表現するために、より立体的なキューブが飛び出すようにしました。
小野 キューブが半分しか見えないデザインの時は、飛び出すイメージにも沈むイメージにも捉えられてしまうデザインだったため変更しました。また、9期生の個性を表している部分でもあるのでより目に入るようにも変更しています。
今までの案(第1回記事参照)では淡い印象がありましたが、第3案ではくっきりとした印象が あります。変化の過程、経緯はどういったものでしたか?
佐藤 あまり私としては、淡さからくっきりへの変化を実感していないのですが、色が淡すぎると 印刷した時に綺麗に出るのかという問題も出ました。素材の切り取りをより丁寧に行ったことで、 くっきりさが際立ったとも思います。
村上 「24bit カラー」から連想できる鮮やかな虹色を配置した時に、背景色がくっきりとしたモ ノトーンだとキューブに視線が行くと感じ、シックな雰囲気に仕上げていきました。
樋口 デザインの系統を決めるとき、シックな印象のものにしたいという方向性が出ていたので、 それに合わせて候補デザインを作っていきました。
教授からはどのようなアドバイスがありましたか?
村上 映像学科らしさが見る人に、ちゃんと伝わるポスターに仕上げることを心がけるようにと助 言をいただきました。
佐藤 ポスターのラフを数種類ご覧いただき、素材の位置や大きさなどのバランスを指摘していた だきました。水しぶきの質感や、キューブの色合い、立体的な空間が表現できているかなど、第三 者の視点でご指摘をいただきました。
複数の案から最終案を選んだ決め手を教えてください。
佐藤 パッと見たときの印象でこれだな、となりました。一番まとまっていて見やすい構成を最低 限のシンプルな要素で表現できたと思います。
村上 その後いただいたご意見も取り入れながら、デザインを寄せてみたり、色味を改善していき 最終案が完成しました。
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立方体の質感も変化していますね。
佐藤 今までのザラザラ感が少し減り、前よりも ツルツルしているように見えるかと思います。重 ねているレインボーカラーのグラデーションの関 係もありますが、ポスターの中での光と影の関係 や、水面の反射光などを編集しているため、より 馴染んだ仕上がりになりました。
背景は明暗がはっきりとしたものに決まりま したね。
村上 キューブが液体から飛び出して光っている ように見せたいと思い、背景色はキューブを中心 としたグラデーションになっています。
佐藤 目線をキューブに集めるため、背景のキュ ーブ裏のところは明るくしています。逆に下の部分は、文字情報との兼ね合いもあるため暗めにし ました。
ここは伝えたい、という各々のこだわりポイントと、最終案にたどり着くまでの 1 番の苦労を 教えてください。
佐藤 私はポスターデザインを考え始めた時から、躍動感や動きを感じられるデザインにできない か考えてきました。デザイン部の4人と、協力してくださった教授や友人の意見を組み合わせるこ とで、躍動感のあるポスターが完成したと思っています。何度も話し合いやラフ作成をすることが 大変でしたが楽しかったです。
小野 「24bit+」と「ピクセル」そして「映像学科9期生」この3つをどうビジュアル化すれば伝 わるのか、正解がわからない中たくさん話し合うことで、何とか完成まで持ってくることができた と思います。それもこの3人とだったからできたことだと思います。
村上 多様なジャンルを持つ映像学科らしさは「写真素材とデジタル上の表現の組み合わせ」で、 9期生らしさは「個性豊かな虹色のキューブが飛躍している」ということで、ポスターを見る人に 受け取ってもらいたいと思っています。また、ポスターを制作を通して、0 から作り上げていくこ とはとても難しいことだと実感しましたが、教授やデザイン部の方々のおかげで学びの多い、とて も良い経験になったと感じています。
樋口 撮影した写真素材とデジタル上での表現を融合させた構成になっています。実写映画、写 真、ドキュメンタリー、アニメ、CG と幅広いジャンルの作品が展示されるので、どの要素も感じ られるように頑張りました。
最後に一言お願いします。
佐藤 デザインは消耗品で、今回作ったポスターなどは来年にはもう使われることはありません。 それは悲しいことというより、短い期間の中で思う存分輝ける、主役になれるということだと思い ます。たくさん使っていただいたり、多くの人々に見ていただけたら嬉しいです。
小野 このポスターから9期生の個性を感じてもらい、ぜひ興味を持ってもらえたら幸いです。
村上 9期生らしい個性や雰囲気が感じられるポスターに仕上がりました。ぜひ個性あふれる9期 生の作品もご覧になっていただければ幸いです!
樋口 映像学科生の個性が飛び出してくるようなイメージを、このポスタービジュアルから感じて もらえたら嬉しいです。
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インタビューの前編リンク