卒業制作作品紹介-その④
今回は、卒業制作作品紹介の第4回です。
気になった作品は、ぜひ卒業制作展でご覧ください。
『よしこ』藤田菜々子(アニメーション作品)
● 作品紹介
日に日に認知症の症状が進行していく祖母の「よしこ」と接していく中で、不安を感じつつも理解したいと思うようになった。その理解の第一歩としてこの作品を制作した。
● 特にこだわった点
好子の記憶の中の「菜々子」がどんどん変形していき、最後には一つになる描写。好子の中から菜々子という存在が完全に忘れられた訳ではなく、ぐちゃぐちゃになっているということを表現。
● 制作を終えて
認知症になった祖母をテーマにしているので、実際祖母とコミュニケーションを取るのが一番苦しかったというか、大変だった。もう亡くなった好子の旦那さんが見えていたり、よくわからないメールが届いていたり、それだけでも遣る瀬無い気持ちになってしまった。作画に関しては、背景の書き込みが大変ではあったが楽しかった。背景は、実際好子が住んでいる家や、その周りの風景を参考にしている。
『鳴いた西瓜』坂内映介(劇映画作品)
● 作品紹介
夏が終わる頃、感情表現が苦手な主人公イチが元カノ、友人、新しい出会いの中、変わらない自分、変わってく周りを感じ、すれ違いながら答えを見つけていく恋愛映画。
● 特にこだわった点
映画の登場人物を僕たちの日常生活の中でいる人にするための役者選びをこだわりました。学生である彼らだけが出せる空気感と素朴で素直な演技はこの映画で大切なものです。映画の登場人物が僕たちの日常のどこかで他人との距離に悩み、独り見つけられない答えを探しながら日常を過ごしていると思っていただけたら幸いです。
● 制作を終えて
僕の映画制作において、ターニングポイントのような作品になったと思います。これからどんな作品を作りたいのかまだぼんやりですが見えてきたと思います。また制作のほとんどを自分一人で進めながら、役者、スタッフなど協力してくれた皆さんと関わっていっていると、改めて人と関わることの楽しさ、難しさを実感できました。何より映画を作るのが楽しいんだとはっきり自分で区切ることが出来たことが一番大きかったです。協力して頂いた皆さんありがとうございます。
『晴癖』加藤晴也(アニメーション作品)
● 作品紹介
春画×加藤晴也
これまで培ってきた自らの世界と今までにない「春画」を合わせたら、果たしてどんな反応が生まれるのか…。
一応、視聴の際はある程度覚悟してきてください。
● 特にこだわった点
私は他の学生と比べると絵は上手くない方です。なので、「演出」でどうにか面白いものを作ろうともがいてきました。「誰かの琴線にさされ!」と思いながら絵を描き、声をあて、編集しています。
● 制作を終えて
「みんなもっと俺をみてくれ!」「チヤホヤしてくれよ」と思いながら、自らに剣を立て、削っていく。まさに血肉を注いで作っています。0から1を生み出す苦しさや難しさを日々感じることが3、4年生になって多くなりながらも制作してきました。ひとまずここが一区切りの制作となりました。「これでいいのか?」「ここで終わるのか?」な〜んて考えながら、「苦しみから解放される」とも考えています。
さて、私はこれからも制作を続けるのか?それとも少し距離を取るのか?まあ距離を取っても、ドMだからしれっと戻ってくるのかな。な〜んてことを考えながら、残りの大学生活を駆け抜けています。
実際の作品は卒業制作展でご覧いただけますと幸いです。