2020年度 卒業制作展
2021年2月9日(火)〜 14日(日)10:00-17:00
*2月9(火),10(水)のみ一般公開となります。
私たちはこの4年間を通して、映画・写真・アニメーション・CG・CMなど、多様な映像表現を学び、日々制作に励んできました。
映像学科9期生の強みは、それぞれが24bitにおさまらないような唯一無二の個性を持っていること。
悩み、苦しみ、そして楽しみながら、個性と技術を磨き続けた4年間の集大成、まさしく【24bit+】と呼ぶにふさわしい、個性に彩られた作品展がはじまります。
私たちの飛び出す個性を、どうぞうけとってください。
映像学科9期生一同
EVENT**受賞作品**ゼミ&作品紹介**BLOG
EVENT
ゲストを招いての公開講評をYouTube Liveで配信します。是非ご視聴ください。
2月11日(木・祝)11:00 -13:00
【映画】ゲスト講評:根岸吉太郎
根岸吉太郎(東北芸術工科大学理事長/映画監督)
早稲田大学第一文学部演劇学科卒業。『オリオンの殺意より、情事の方程式』(1978)で監督デビュー。『遠雷』でブルーリボン賞監督賞、芸術祭選奨新人賞を受賞(1981)する。『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』で2009年モントリオール世界映画祭の最優秀監督賞を受賞。2010年に紫綬褒章を受賞。映画だけでなく、楽曲のプロモーションビデオの監督なども務める。
2月11日(木・祝)14:00 -16:00
【アニメーション】ゲスト講評:水野健一郎×稲葉まり
水野健一郎(アーティスト)
既視感と未視感の狭間に存在する超時空感を求めて、自身の原風景であるTVアニメの世界観を脳内で再構築し、多様な手法でアウトプット。作品集『Funny Crash』、『KATHY’“NewDimension”』をTOKYO CULTUART by BEAMS より刊行。映像チーム「超常現象」、美術ユニット「最高記念室」としても活動。東北芸術工科大学映像学科非常勤講師を始め、数多くの場で教鞭をとる。
稲葉まり(アニメーション作家)
’02年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。在学中よりニュージーランド出身のデビッド・デュバル・スミスとイギリス出身のマイケル・フランクによるクリエイティブユニット「生意気」に勤務し、印刷物、ミュージックビデオ制作などに関わる。’06年に独立。切り絵を用いたコマ撮りアニメーションやイラスレーション制作を行う。’17年 SHISEIDO ASIA “let your beauty grow” Mari Inaba for SHISEIDOを手がける。’18年よりEテレ「シャキーン!」にて音楽アニメーション「まつりばなし」を馬喰町バンドと手がけている。
2月13日(土) 14:00 -16:00
【CG】ゲスト講評:鹿野護
鹿野護(WOW株式会社 顧問)
東北芸術工科大学卒。ソフトウェア開発とコンピューターグラフィックスを結合した表現に取り組み、様々な分野のビジュアルデザインを手がける。これまで国内外の展示会や美術館にて、空間展示型の映像作品を多数発表。近年では情報機器のユーザーインターフェイスのデザインを手がける。ビジュアルデザインスタジオWOW創業メンバー。WEBサイト「未来派図画工作のすすめ」主宰。
2月14日(日) 14:00 -16:00
【写真】ゲスト講評:志鎌康平
志鎌康平(写真家)
1982年山形生まれ。小林紀晴氏のアシスタントを経てアカオニ入社。2016年独立。人・食・土地、日本/世界を旅しながら撮影中。広告をはじめ雑誌「BRUTUS」「FRaU」、Webでは「雛形」「北欧暮らしの家具店」などで撮影。最近は中国やラオスベトナムなどの少数民族を尋ね写真を撮り歩く。写真スタジオ/サンデーブース代表。山形ビエンナーレのフォトグラファーも務める。
京都芸術大学 × 東北芸術工科大学
オンライン上映会
お互いの大学の卒業制作作品を観賞し意見交換をおこなう相互上映会をオンラインで開催します。
姉妹校である京都芸術大学 映画学科の卒展サイトで2/9(火)〜2/12(金)ご覧いただけます。
受賞作品
今年の受賞作が決まりました。作者、担当教員のコメントともにご覧ください。
最優秀賞
「ドーナツ・ホール」 62分16秒/映画作品 (林・中村ゼミ)
五十嵐桃佳、川崎たろう、小山和生
「心の穴」をモチーフにした、大学生を取り巻くドラマを扱った作品です。
五十嵐桃佳、川崎たろう、小山和生
〈作品で力を入れた点〉
川崎:自分たちが作品を作るにあたって抱えていた考えや思想をできるだけ演出にシンクロさせようと試みました。
小山:観客に寄り添ったやさしい映画になるようにストーリーを考えました。
五十嵐:現場が滞りなく回ることを第一に考えました。スタッフやキャストができるだけ動きやすいよう、演じやすいように香盤を組み、下準備を行いました。
〈大学四年間で学んだことがどう活かされましたか〉
川崎:大学では「映画は一人で作れない」ということを学びました。今作品は様々な方に力を貸していただき、その協力があったからこそ成立している作品だと実感しています。
小山:技術的なことはもちろんですが、コロナの影響で人数や場所が制限される撮影で、いかにして制限がないように見せるかということに映像学科で学んで知識が活かされていると思います。
五十嵐:人それぞれ価値観が違っていて良いということを学びました。自分の考えに固執せず、先入観に縛られない人間になれました。
〈受賞した感想〉
川崎:編集中は「これ、面白いのかな」なんて思いながら作業していましたが完成して、「撮ってよかった」と思える作品になりました。このようなかたちで評価していただけるのはとても嬉しいです。
小山:率直に嬉しく思います。ですが、賞を受賞できたことよりも、観ていただいた教授方、同期のみなさんに「よかったよ」と言ってもらえたことが一番嬉しかったです。
五十嵐:考え方、表現方法が全く違う3人ではありましたが、話し合いを重ねることで、まとまった一つの作品を作ることができました。
その上で自分たちの作品を自分たち以外の誰かに認めてもらえたことはとても嬉しかったです。
〈担当教員よりコメント〉
誤解を恐れずにいうと、本作は卒業制作の課題作品ではない。拙いながらも、2020年度に作られた日本のインディペンデント映画の一本である。新型コロナ禍の最中、撮影自体に制約がありながらも、それを全く感じさせない豊かな画面になったのは特筆すべきでことだ。製作の五十嵐桃佳、監督の川崎たろう、脚本の小山和生、まさにこの三人でなければ生まれなかった正真正銘の「映画」である。小山は音楽も手掛けており、エンディング曲『ベイビーブルー』は必聴!
– 中村 高寛
〈学科長よりコメント〉
『ドーナツ・ホール』はチームワークで作り上げた映画である。小山和生の繊細かつ難解な脚本を川崎たろうの映画美学で演出し、五十嵐桃佳のプロデュース力で現場をつくった。
コロナ禍で人と人が会うことも憚れる状況の中、丁寧に撮影を積み重ね、1時間を超える大作を完成させた。主役をはじめ出演者のほとんどを映像学科の学生で構成したことで脚本、演出の意図をスムーズに伝えることができた。コロナ禍で否応無しに突きつけられた限られた条件という逆風を追い風に変えて逞しく成長していくチームが作品から感じられた。映像学科からまた一本素晴らしい映画が誕生した。
– 岩井 天志
優秀賞
「ほつれにふれる」 4分26秒/アニメーション作品 (岩井ゼミ)
佐藤夏季
とにかく生きていてほしい、そう願いながら制作しました。
佐藤夏季
〈作品で力を入れた点〉
生き物の微細な動きと、現実に同じ瞬間は一度も無いということを表現するため、紙に0.3ミリのシャープペンシルを用いて、細やかなアニメーションを描き続けました。数えたら2506枚描いていました。描いた枚数だけ作品内の生き物たちは生きていて、見てくれた誰かの中でもっと生き続けます。そうなれば嬉しいです。
〈受賞した感想〉
数ある作品の中から優秀賞に選んでいただき、本当に光栄に思います。お世話になった方々に報告します。卒業しても作品を作っていきますので、これからも見守っていてください。ありがとうございました!
〈個人Youtubeリンク〉
https://www.youtube.com/channel/UCyRZb4jNPXOMmBIRhYHotkA
〈担当教員よりコメント〉
『ほつれにふれる』は体感するアニメーションである。架空の微生物の誕生から死滅までを描いたその世界は観るものを時に宇宙空間へ、時に分子世界へ誘ってくれる。緻密に描かれた生物の命と私たちの命がシンクロし、動きと鼓動が重なりあい、「今此処で確かに生きている。」と細胞レベルで感じながらその世界に入り込んでしまう。アニメーションの神秘である。佐藤夏季は毎日毎日、紙に鉛筆で描き続けた。様々な思いをしながら描いた時間の集積が線となり、形となり、新しい命を生み出す。『ほつれにふれる』を観たとき自然と涙が流れたのは作り手である佐藤夏季の命を感じたからに違いない。
– 岩井 天志
優秀賞
「爆弾ドラゴン危機一発!」 27分/映画作品 (林・中村ゼミ)
佐藤且之
香港アクション映画です(ウソ)
佐藤且之
〈作品で力を入れた点〉
もちろんアクションですね!他の学生には作れない、自分だからこそ作れるアクションシーンを目指しました。それ以外だと、脚本上では真面目っぽいシーンでもクスッと笑えるような演出を心がけた点ですかね、中盤で主人公がブチギレた時のやりとりとか。見ているのが楽しいギャグ映画になるよう頑張りました。
〈受賞した感想〉
毎年、卒展の劇映画作品は真面目なものが多い中、このようなエンタメ作品で賞をいただけたことがとても嬉しいです!4年間アクションを撮り続けたことを誇りに思います。しかしここで満足せず、卒業後もさらにアクションを極めていこうと思います。応援してくれると幸いです。ありがとうございました!
〈担当教員よりコメント〉
「アクションを撮らせたら、学生では右に出る者はいない」。林海象教授は佐藤且之をそう評した。これまでの実習作品を観てもアクションはピカイチ、私も度肝を抜かれた一人である。本作を観ると、佐藤がアクション映画を含めて、圧倒的な映画体験を経てきたことが分かる。でなければこんなに観客をワクワクさせる映画など作れない。まさに本作は将来のアクション映画監督の誕生を高らかに宣言している。
– 中村 高寛
優秀賞
「masked 2020」 /写真作品 (屋代ゼミ)
佐々木春杜
コロナ禍の影響で増えたと思しき「道端に落ちたマスク」を撮り集めて、240枚展示しました。
佐々木春杜
〈作品で力を入れた点〉
「数」と「印刷」に力を入れました。
2020年7月から2021年1月の展示準備ギリギリまで写真を撮り集め、撮影枚数としてはおよそ700枚ほどになりました。またそこから、「マスク」という変哲のない物から「写真」という美術作品に変換する上でなるべく美しく作品化できそうなマスクの写真を選びました。
印刷には、モノクロフィルムが主に使われていた時代のバライタ紙を再現した写真用紙を選び、マスクの質感に重視して試行錯誤を繰り返しました。実物ではモノクロの中のグレーが美しく反射するので、じっくり見ていただきたいです。
〈受賞した感想〉
まさか優秀賞に選ばれるとは思っていませんでした…。
240枚の印刷と、膨大な手作業の数々、努力した甲斐がありました。
高校から7年間続けてきた写真の集大成となったのではないかと思います。
このような評価をいただけたこと、とても光栄に思います。
〈担当教員よりコメント〉
佐々木春杜の「Masked 2020」はコロナショック時代の事象を抽出して、的確に掴み取ろうとする意欲的な作品です。彼の写真は「歴史を検証するための貴重な遺物」という記録性と、それらのマスクを誰かが使用した「抜け殻のポートレート」という記憶性が内在しています。
2020年の仙台市の道端の空間と、その時の時間を切り取ったものですが、2020年が歴史の転換期になるとすると、佐々木の仕事は未来の人たちの目前に大きな価値を持って立ち現れると確信できます。
– 屋代 敏博
優秀賞
「Remember FUTURE」 5分42秒/3DCG作品 (西村ゼミ)
島貫瑞希
私の考えるロマンを表現した映像作品です。
島貫瑞希
〈作品で力を入れた点〉
企画段階で右往左往しているときに、世界観の設定資料がたくさん出来ました。映像の表面上には取り入れていませんが、細部のこだわりに滲み出ていると願っています。映像の構成としてはシンプルなので、画面を飽きさせないように空気感と構図に力を入れて見惚れるような感覚を目指しました。
〈受賞した感想〉
ロマンという曖昧な定義を突き詰めていく過程は苦しかったですが、どのような過程でも完成に辿り着けばすっきりした気持ちになることは変わりません。これまで3DCGに触れてきて手に入れたコツのようなものを存分に発揮できた作品になったと思います。
〈担当教員よりコメント〉
一般的に、遺跡は過去に存在した文明の痕跡を指す。
島貫瑞希は、<過去に繁栄した文明>と、<未来に衰亡する文明>を、同等並列に扱っている。ここには、過去、現在、未来という一方向の時間ベクトルは無い。一連の山脈を遠くから眺めるように「時」を俯瞰的に捉えている。この映像の中では、遺跡は<はるか過去の姿への憧れ>であり、そして<はるか未来の姿への哀愁>である。悠久の流れのなかに生まれては消え去る文明への「ロマン」が詩的に描かれている。
– 西村 宜起
学科賞
「complex」/写真作品 (山本ゼミ)
小野七菜華
コンプレックスから生まれた写真です。
小野七菜華
〈作品で力を入れた点〉
コンプレックスはデリケートな問題で、さらにそれをさらけ出すというのは、とても勇気のいることです。なので、撮影前からモデルになってくれた子とたくさんお話をし、信頼関係を築いた上で、安心して撮影に臨めるように。また、撮影中もとにかくたのしい思い出になるようにと、私自身たのしんで撮影するようにしました。
〈受賞した感想〉
モデルの子たちの勇気とたくさんの方の協力でここまで来れたので、そのみんなに報告ができることがとてもうれしいです。モデルになってくれた7名の女の子と最後まで指導してくださった山本コージ教授に感謝の気持ちでいっぱいです。
〈担当教員よりコメント〉
人には様々なコンプレックスが存在する。
他者からすると、さほど気にならないものも、本人には深刻な問題のようだ。そのコンプレックスを小野七菜華はあっけらかんと「見立て」のセンスで解決している。撮影前にモデルひとりひとりと事前にコミュニケーションをとり、人前に晒すことへの恐怖心を払拭し撮影に臨んだ。そして全員笑顔へ導いている。作品は、しっとりした質感をライティングで表現し背景色の色相を揃えマットな紙で定着させた。仕上げは紙との相性を考え木製に拘った。どの作品を見ても、コンプレックスをビューティーへ昇華している。
– 山本 コージ
学科賞
「夜道のあかり」6分35秒/アニメーション作品 (岩井ゼミ)
村上千紘
人の温かさに触れると心が軽くなるということを、冬の寒さや春の暖かさに置き換えて表現する作品です。
村上千紘
〈作品で力を入れた点〉
セリフがないので、登場人物の悩みを氷として目に見えるように工夫しました。
〈受賞した感想〉
とても嬉しいです!うまくいかず悩みながら作り上げた作品なので、これまで関わってくれた全ての方にとても感謝しています。
〈担当教員よりコメント〉
村上千紘はクリエイティブ能力の高い学生である。画力、構成力、デザインセンスに至るまでバランス良く備わっている。3年後期には様々な画風のオムニバスアニメーションをつくり、その引き出しの多さに驚かされた。卒業制作ではより強い作品を作り上げるという目標を掲げ、あまり得意ではないストーリーものに挑戦した。何度も脚本を改訂し、余分な要素を削ぎ落とし、シンプルで普遍的なメッセージの残るストーリーを完成させた。コロナ禍の今とオーバーラップする外出できない舞台設定、誰もが抱えるコンプレックス、それを受け入れ解り合える友情の大切さを6分という短い尺で見事に描いた。
– 岩井 天志
学科賞
「結束のファンファーレ」8分30秒/アニメーション作品 (岩井ゼミ)
星﨑遥
女の子と朝顔、それぞれの絆のお話です。
星﨑遥
〈作品で力を入れた点〉
作品を期限内に必ず終わらせる強い意志を持続させることです。
〈受賞した感想〉
周りからおめでとうと言われて実感しました。
とても嬉しかったです。
〈担当教員よりコメント〉
ほっしーこと星﨑遥は自由だ。自由であるが故に作品も面白い。卒業制作もただつくりたいものをつくると言うのでプレゼンまで放っておいたら面白い企画をペロッと出してきた。ここまで書くとただの自由でワガママな学生にみえるが、それだけではアニメーションはつくれない。自由にみせておいて見えないところで努力するタイプである。前作は一ヶ月程の制作期間で5分あまりの傑作を提出して皆を驚かせた。今作『結束のファンファーレ』では彼女の魅力が随所に詰まっている。オリジナリティのあるキャラクターデザイン、特有のデフォルメした動き、身体の一部を奪われるという奇抜なストーリー展開など、アニメーションの楽しさが満載な作品に仕上がった。
– 岩井 天志
学科賞
「元祖トンチキテンペンハート」2分50秒/アニメーション作品 (西村ゼミ)
熊谷海斗
アニメーションにおける「芝居」や「動き」を楽しんでもらえるような作品を
目指しました。
熊谷海斗
〈作品で力を入れた点〉
いろいろな芝居が描けるように、とにかくたくさんシーンやキャラクターを作るのが楽しかったです。
〈受賞した感想〉
まだまだ下手くそで納得いかないところばかりなので、もっと面白い作品が作れるよう精進していきたいです。
〈担当教員よりコメント〉
この先どんなにComputer Graphicsの技術が進んでも、たとえ本物の手描きと全く見分けがつかないアニメーションをAIが作り出したとしても、コンピュータには絶対に獲得できないことがある。それは人間が手で描いたという「事実」である。
熊谷海斗は手描きアニメーションの真正な正統性を主張する。
このアニメーションはアニメーターが、ひとコマひとコマずつ心を込めて手で描き上げた作画である。それは歌舞伎役者が舞台で体のひとつひとつの動きに神経を集中することに似ている。熊谷は手描きアニメーションで「芝居」を演じた。
– 西村 宜起
中村賞
「群青の赴きと共に、」28分33秒/映画作品
難波佳希、伊東輝実
日々に無気力さを感じていた主人公が、元カノとの再会によって自身の変化を促されます。
難波佳希(左)、伊東輝実(右)
〈作品で力を入れた点〉
輝実:脚本段階のストーリー構成から、キャスティング、ロケハン、衣装・メイク、小道具、編集、音楽、演出、作品制作の全てにこだわりを持って制作しました。
難波:自分が海を撮りたいと言ったので、うまく表現できるよう自分の学んできたことを生かし撮影をしました。
〈受賞した感想〉
輝実:スタッフ・キャストの皆の努力が受賞という形で報われて、とても嬉しく思います。また完成まで導いてくださった教授方と協力してくれた皆に感謝の意を表したいです、本当にありがとうございました。
難波:賞をいただき嬉しいです。紆余曲折ありましたが協力して完成することができました。他の人に認められる作品ができてよかったです。ありがとうございました!
〈担当教員よりコメント〉
「青い海が撮りたい」と撮影の難波佳希が言い出した。まだ脚本どころか、ストーリーすら何もないのに、である。しかし監督の伊東輝実はその要求に応えて脚本を書きあげた。残念ながら曇天で「青い海」は撮れなかったが……。本作は、ありきたりのラブストーリーという体裁をとりながらも、実に不思議な味わいがある。それは一人で作っていたら決して生まれなかった味わいかもしれない。映画とは、人と人が出会い、衝突し、そこから生まれる化学反応によって磨かれていくものだ。
– 中村 高寛
今村賞
「うちのばさま、大丈夫が?」8分17秒/CM・ショートムービー作品
沼澤南
認知症の祖母の実体験を元に制作したショートムービーです。
沼澤南
〈作品で力を入れた点〉
認知症は重いテーマですが、重く受け止め過ぎず前向きに祖母と接してきた自分の家族を再現することにこだわりました。キャストさんもとても自然に演じてくださり、撮影中は本物の家族のような空間になって本当によかったです!
〈受賞した感想〉
多くの人が今後関わることになるかもしれない、こういったテーマの作品で賞をもらえたことが本当に嬉しいです。
おばあちゃんにも報告しようと思います! すぐ忘れちゃうけどね^^
〈担当教員よりコメント〉
三世代同居家庭が多い山形県。これまでも多くの卒業生が、おじいちゃんやおばあちゃんの思い出をもとにドキュメンタリーや映画を作ってきた。沼澤さんの卒業制作は、単に作品であることを超えて、愛する祖母の痴呆ともいかにうまく楽しく共存できるかという「課題解決型」のアプローチにこだわったことを評価したい。
– 今村直樹
加藤賞
「名辞以前〜窓辺の私〜」/インスタレーション作品
畔上結衣
「映像表現における作為」をテーマにマルチモニターを利用した実験映像作品
畔上結衣
〈作品で力を入れた点〉
大学生活で自身の学びのテーマとしてきた「映像表現における作為」をどのような形態で追求するか試行錯誤しました。
〈受賞した感想〉
私は「映像」という表現そのものに対して非常に興味を持っておりましたので、実験映像作品として賞を頂けたことを嬉しく思います。
〈担当教員よりコメント〉
畔上結衣のマルチモニターによるインスタレーションは、中原中也の”名辞以前”という言葉からインスパイア―された感覚を、モニターの枠の内側と外側を横断して侵食しあうイメージで表現した作品である。作者は、マスメディアの表現における真実と虚構の問題に興味を持っており、メディアの嘘を暴くというスタンスでモニターの内側の世界を疑ってみることから、真実に近づこうとしているのだ。実験的なチャレンジを評価したい。
– 加藤到
屋代賞
「くみ色クミ」/写真作品
中川典彦
感情や情景を視覚化する。
中川典彦
〈作品で力を入れた点〉
形式に囚われない自由な発想で制作したこと。
〈受賞した感想〉
屋代教授、同じゼミの仲間、家族、友人などの協力があったからこその作品だと思っているので、関わってくれた方々に感謝したいです。
素直に嬉しいです。
〈担当教員よりコメント〉
中川典彦はグラフィックデザインのフィールドで思い切り遊んでいます。最初は写真を美しく見せようとして形式に囚われていましたが、最終プレゼン直前に彼本来の独特なセンスを取り戻して自由に泳ぎ始めました。ZINEとは元々西海岸のSkaterが広めた自由なメディア。中川典彦のグラフィックワークの実験の場でもあり、遊びの空間でもあります。
卒展会場に展示されている「くみ色クミ」は展示中も変化し、中川典彦の成長と進化を楽しむことができます。
– 屋代 敏博
山本賞
「青年と子豚」8分22秒/アニメーション作品
渡邊進太郎
私が夢に感じる不可思議さや寂しさをインスタレーションにしました。
渡邊進太郎
〈作品で力を入れた点〉
過激な表現、目を引く表現の力に頼らないながらも印象に残せるよう
な表現を模索しました。
〈受賞した感想〉
このような大変誉れある賞を頂けて光栄です。全ての人に感謝します。
〈担当教員よりコメント〉
夢での出来事である。夢だからストーリーなんてある訳が無い。正解もない。ただ小窓から覗き込んだ世界を万華鏡という天地無用、取扱注意、炎上上等な世界観で見る者の頭の中をぐにゃぐにゃにしてしまう。まさに渡辺進太郎の変態性が成し得た小空間である。しかしその計画性の無さ、スケジュール管理の甘さは否めない。進め!進太郎。まだ見ぬ政の世界へ。果てない変態アーティストへの道へ。
– 山本 コージ
岩井賞
「FRIEND SHIP」3分20秒/アニメーション作品
櫻井里穂
人の優しさや温もりを感じることで、あなたが一人ではないことに気づいてほしいという思いを込めています。
櫻井里穂
〈作品で力を入れた点〉
顔や声が無い分、動きだけでどれだけ感情を伝えられるかを常に意識していました。
〈受賞した感想〉
ずっと不安の中で制作してきたので、賞をいただけてとても嬉しいです。そして受賞したことをきっかけに、より多くの人に見ていただけたら嬉しいです。ありがとうございました!
〈担当教員よりコメント〉
櫻井里穂の『FRIEND SHIP』は独特の技法と手づくりのあたたかさが詰まった良質な作品である。このアニメーションは人形アニメーションであるが人形が存在しない。服や帽子や靴だけが存在し、それらを動かすことであたかも人形が存在しているかのようにみせるのである。この作品で動きだけで感情を表現することに挑戦した。顔や手がない人形(衣装の動きだけ)で感情を表現するには人形の動作を明確にイメージし、服や靴を繊細に動かす必要がある。大変な技術である。目標通り動きだけで観るものに感情が伝わる作品が完成した。
– 岩井 天志
西村賞
「A mechanica sine futurae vitae」8分/3DCG作品
9thMachina
人生の理不尽さや劇的な意味不明さを描いたフル3DCG映像作品です。
9thMachina
〈作品で力を入れた点〉
3DCGモデラー志望として鹿の頭骨のモデルを如何に印象づけられるかに力を入れたと思います。生物的なデザインと機械的な世界観でアンバランスさを表現しています。
〈受賞した感想〉
何かの間違いだと思っています。
私は未だ私が作りたい3DCGの域に1割もたどり着いていません。私の人生でこの技術をより研鑽していき、いつか同志達に認めてもらえるような3DCGモデラーになって、社会的にも認められて、そこで初めてこの受賞を自分自身の心で受け止めたいと考えています。
〈個人サイトURL〉
https://alius.artstation.com/
〈担当教員よりコメント〉
自動人形の自己回想独白である。
この自動人形は、過去いくつもの姿を持ち、いくつもの世界を経験し、この先またいくつも場所と時を歩み続ける。語りの中の一つ一つの回想には善も悪もない。明確な意思もない。連なる出来事の中を自動人形は壊れ停止するまで理不尽に歩き続ける。作品の構想はアンドロイドが登場するファンタジーから始まった。しかし到着地点は大学四年間の桑山亜久里自身の心模様を自動人形に投影する形におさまった。独白内容から想像する世界観は鑑賞者に全く任されているが、桑山を知らない鑑賞者も何か不思議な魅力に引き込まれていく。
「シリアスな雰囲気を壊すギャグのように、幸福な物語に入る凄惨さのように。」(桑山自述)
– 西村 宜起
ゼミ&作品紹介
卒業制作展 屋代ゼミ作品紹介
この1年を振り返るとコロナウィルス感染症の影響抜きには語れません。前期の授業がすべてリモートとなり、ゼミ生全員が初体験のZOOMによる授業が例年から一ケ月遅れてスタートとなりました。しかし、卒業制作の締め切りは例年と変わりません。ソーシャルディスタンスの確保と三密の回避を厳守すると、必然的に卒業制作の企画決定は困難になります。
卒業制作展 西村ゼミ作品紹介
新しい車を手に入れ、その乗り心地を確かめながら、まだ行ったことがない場所をドライブする。 このワクワク感は新鮮なメディアを使い、試行錯誤しながら自分がまだ試したことがない表現に挑戦するときに味わう感覚である。私がComputer Graphicsと初めて出会ったときのワクワク感は、今も作品を制作するときにまちがいなくやってくる。
卒業制作展 今村ゼミ作品紹介
今村ゼミの卒業制作では、毎年、CMやPV、短編・中編の映画、写真からアニメーションまで、多様な表現領域の作品が生まれてきましたが、今年は、6人のゼミ生のうち、5人が写真で卒業制作に取り組むという異例の年になりました。
卒業制作展 山本ゼミ作品紹介
ジーコゼミ2020の構成は、アニメーション専攻7名、写真専攻1名。卒業制作に関しては私山本コージを説得してくれたら何をやっても可なプレゼンテーション型ゼミです。何より集中が大切なゼミなのです。
卒業制作展 加藤ゼミ作品紹介
本年度の加藤ゼミからは卒業制作として6作品が出品されている。最終的な作品化の過程の中で、かなり悪戦苦闘してしまい、当初のテーマをそのまま表現するに至らなかった作品もあるが、それはそれで、本人にとってはかけがえのない貴重な制作体験であり、学生時代ならではの試行錯誤であったと言えるだろう。
卒業制作展 中村ゼミ作品紹介
「日本映画の父」牧野省三の息子・マキノ雅弘は、18歳から映画を撮り始めて二十歳でキネマ旬報第一位となる名作を世に送り出した。林海象教授は「経験則なんてどうでもいい。映画は、若者の力を信じることからしかできない」と言う。本ゼミでは、これまでの慣習に囚われた、いわゆるプロを真似た「映画ごっこ」はしていない。ゼミ生たちの内的衝動によって生み出される映画、つまり新世紀の映画を目指している。
卒業制作展 岩井ゼミ作品紹介
岩井ゼミはアニメーションを表現手法として制作をおこなう学生が集まっています。今年は9名。コロナの影響によりリモートでスタートした一年でしたが、気付けば最後まで全てのゼミをリモートでおこなうという異例の年となりました。このような状況にも関わらず全員が目標を掲げ、目一杯制作に励んだ一年でした。
BLOG
卒業制作展がついに開催 ブログ担当から挨拶
これまで2020年度東北芸術工科大学映像学科 卒業/修了研究・制作展「24bit+」を準備する学生たちの様子を全5回に渡りインタビューしてきました。ご覧下さった皆様、誠にありがとうございました。
第3回 思いが伝わるポスターを作る デザイン部【後編】
第3回では映像学科卒展ポスターのデザインを担当しているデザイン部の佐藤夏季さん、小野七菜華さん、村上千紘さん、樋口ゆり子さんの4名にお話を伺いました。
後編となる今回は、第2案から最終案までの流れに焦点を当てていきます。
第1回 思いが伝わるポスターを作る デザイン部【前編】
2021年2月9日(火)~14日(日)に開催される2020年度東北芸術工科大学映像学科 卒業/修了研究・制作展「24bit+」を創り上げる学生たちのリアルな言葉をお届けするため、広報部にて各部へのインタビューを企画しました。開催まで全5回にわたり毎週掲載していきます。
卒業制作展を作る学生のリアルを伝えるインタビューがスタート
2020年度東北芸術工科大学映像学科 卒業/修了研究・制作展「24bit+」は2021年2月9日(火)~14日(日)に開催されます。2020年度に4年生となった学生たちが今までの学び・研究の集大成を発表する場として1年を通して準備が進められてきました。
卒業制作展は実際に学生の手によって作り上げられています。